
Digital Guardianship 02
「親がいなくなったあと、この子のスマホは、だれが見てくれるのだろう。」
「誰かが悪用してしまわないのだろうか。」
通帳や不動産よりも、いまはスマートフォンのほうが生活の中心にあります。
銀行も、行政手続きも、医療情報も、多くがアカウントの中にある。
では、その管理は制度として整理されているのでしょうか。
今回は、「制度などの仕組み」を中心に整理してみたいと思います。
後見制度の本来の役割
成年後見制度の中心にあるのは、
・財産管理
・契約の代理
・不利益な契約の取消
です。
判断能力が不十分な人の「法律行為」を支える制度であり、特に銀行口座や高額契約、不動産など、生活に重大な影響が出る領域を守ることを想定しています。
ここまでは、とても明確です。
代理権の範囲と日常運用のズレ
後見人には代理権があります。ただし中心は、あくまで法律行為です。
一方で、日常のデジタル運用には、
・パスワード管理
・二段階認証
・端末のアップデート
・アプリの権限管理
・通知の確認
などが含まれます。
ここは契約の代理とは違い、日々の安全運用の領域です。
制度としての後見人制度の守備範囲と、デジタル生活の実務の間に、ズレが生まれやすい。
このズレが、今回のテーマである「制度の隙間」です。
マイナポータルの代理人登録機能
マイナポータルには代理人登録機能があります。
本人の同意を前提に、家族などが行政手続きを代行できる仕組みです。
これは、現実的に選びうる手段の一つです。
ただし、後見制度と目的は同じではありません。
・マイナポータル代理は行政手続きの補助が中心
・後見制度は法律行為と財産の保護が中心
そしてマイナポータル代理は、
・行政手続きに限定される
・民間契約や金融の運用までは含まれない
という性質があります。
制度が不足しているというよりも、それぞれが想定している目的と範囲が異なっているようです。
この前提を理解することが重要です。
マイナポータル代理の具体的な範囲や、後見制度との違いは、次回あらためて整理します。
継続的なIT運用(安全管理)
契約を守ることと、事故を起こさないことは別です。
・フィッシング詐欺
・不正アプリ
・端末紛失
・認証情報の流出
これらは、日常的な運用の問題です。
後見制度はIT管理者を任命する制度ではありません。
ここにも隙間があります。
本人同意の継続という問題
デジタル社会は同意を前提に進みます。
しかし、
・同意が理解に基づいているか
・同意が継続しているといえるか
・意思表示が安定しているか
という点は、状況によって揺らぎます。
特に理解や意思表示が難しくなりやすい重度知的障害の方にとって、
この問題はより現実的になってきます。
取消できることと、防げることは違う
後見制度には取消権があります。
しかしデジタル契約は、
・ワンクリックで成立
・自動更新が続く
・解約が複雑
という特徴があります。
取消が出来ることは安心につながりますが、多くは事後対応になります。
法的に守れることと、日常的に事故を防ぐことは別。
ここにも隙間があります。
まとめ
今回整理したのは、制度の優劣ではありません。
・後見制度は契約と財産を守る制度として強い
・マイナポータル代理は行政手続きの補助として有効
・しかしデジタル社会では
・デジタル資産
・継続的IT運用
・同意の継続性
といった領域が生活の中心になっています。
制度が想定している目的と、スマホ一極集中社会の実務がズレやすい。
ここが、親として考えておきたいポイントです。
次回は、
・マイナポータル代理で何ができるのか
・後見制度とどう補完しうるのか
・善意の代理操作はどこまで許されるのか
を、もう少し具体的に整理しようと思っています。
制度の隙間を不安のままにせず、設計につなげるために。

