制度の隙間から考える、親亡き後のデジタル管理【連載④】

デジタル社会
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Digital Guardianship 03

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制度の外側をどう埋めるか ― 支援チームと“共有ログ”という現実的設計

第1回では、スマホ一極集中の社会構造について。
第2回では、制度の隙間について。
第3回では、代理と越権のグレーゾーンについて考えました。

今回は、その続きです。

制度は「土台」にはなるが、「日常」は守らない。

成年後見制度は、財産を守る制度です。
日常生活自立支援事業も、金銭管理を補助します。

しかし。

・毎日の生活
・支援者との関係
・スマホやアカウントの管理
・細かな契約の積み重ね

これらは、制度単体ではカバーしきれません。

ここに生まれるのが、いわゆる「制度の隙間」です。

親亡きあとに現実的に存在する支援チーム

グループホーム(GH)を例にすると、すでに支援の輪はあります。

  • 後見人(財産管理)
  • GH職員(日常生活の観察)
  • 日常生活自立支援事業(社協)
  • 相談支援専門員
  • 医療機関

問題は――
これらが横につながっていないことです。

カバーされているが、情報は分断されている。

例えば。

  • GHは生活の変化に気づく
  • 後見人は通帳を見る
  • 相談支援は年数回面談する

それぞれは機能しています。

でも、
「誰か一人が全体を見ている」状態ではない。

ここにリスクがあります。

分断された情報をつなぐ設計はできる。

内部不正やなりすましを100%防ぐ方法はありません。

しかし。

“牽制が働く構造”は作れる。

それが、

役割分担+共有ログ

という考え方です。

共有ログとは何か?

今回作成した「共有ログ」は、
まさにこの思想から生まれました。

共有ログとは:

  • 誰が
  • いつ
  • 何を
  • どの立場で行ったか

を残すための記録です。

重要なのは、

この資料にはパスワードは書かず、別管理にする
「どのような事をやったのか」を残す

ということ。

共有ログの中身(例)

共有ログにはいくつかの情報を含めます。
この情報をお子さんを支えるチームで共有しておきます。

① 固定ページ

お子さんを支えていくチームと管理しているアカウントを記載します。
内容としては、

  • 基本情報
  • 支援体制(誰が何を担当しているか)
  • アカウント棚卸(パスワード除く)

を表にしています。

② 行為ログ

活動記録を記載していきます。
実務としては、ここに記載されている内容と銀行口座等からの入出金を確認したり、実際にサービスが利用できているかを定期的にチェックしていきます。

  • 日付
  • 行為内容
  • 担当
  • 確認者

代理承認などを行う都度、記載していきます。

③ 年次チェック

行為ログまでの情報を年次でチェックしていきます。
基本的に後見人やご家族等が定期的に行うイメージです。

  • 新規口座の増加確認
  • 不明契約の有無
  • 担当変更確認

これは監視ではなく、“透明性”を作る設計です。

デジタルは便利だが、一極集中は危うい。

今は、

  • 銀行
  • 行政
  • 医療
  • 障害者手帳
  • 決済

すべてがスマホに集約されつつあります。

健常者には便利です。

しかし、

重度知的障害のある人にとっては
「管理不能な集中」になり得ます。

だからこそ、

制度 × 日常 × 記録

の三層構造が必要だと感じています。

現時点の最適解

色々と調べていますが、正直に言えば、

今時点で完璧と言えそうな防御策はありません。

でも、

  • 後見人という法的牽制
  • 生活支援という日常観察
  • 共有ログという透明性

この組み合わせは、
「無防備」よりはかなり安心感が増すと考えています。

小さな子どもがいる家庭へ

今すぐ必要ではないかもしれません。

でも、

社会は確実にデジタルへ進みます。

そして、
親は必ず先にいなくなる。

だから今、設計を考える。

それは、安心を作るための準備です。

テンプレートダウンロード

「共有ログ」の項目をダウンロードできる文書として作成してみました。
印刷して利用できるものになっています。


次回は、
この設計を海外事例と照らし合わせながら、
「これからどう変わっていくか」を考えます。

制度はまだこれからも変わっていきます。
その中で、できるだけ安心できる設計をしていきたいと思っています。

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