特別支援校での性教育について

男女のアイコン 子供と付き合うコツ
この記事は約9分で読めます。

我が家の長男は知的障害を伴う自閉スペクトラム症の診断があり、特別支援校に通っています。
先日、長男の学校で開催頂いた思春期の子供への接し方というテーマでの懇談会がありましたので、その時の様子を紹介してみます。

スポンサーリンク

夏休みが明け、大きくなった子どもたち

今年の夏休みは子どもたちの変化が大きかったようです。
コロナの影響があり、学校の開始がずれたり特殊な要素が多く、その後の夏休みだったため変化の現れ方が変わったのでしょう。

そして、やっと学校のリズムに対応できてきている状況とのことでした。

学校での性教育についての取り組み

当初、小学校高学年のみの取り組みであったが、中等部や高等部、そして小学校低学年にも広がり、学校全体での取り組みをしていただけるとのこと。

妻が面談で「性教育をしてもいいか?」という質問を受けた時には、何をやるのかピンときませんでしたが、色々と調べている中で性教育が重要視されているという背景があることを知り、先生方が積極的に対応いただけているという事で、安心することができました。

また、校内で先生の取り組みがきっかけで小学校低学年~高等部まで動き出すという事にいたり、よくやっていただけている先生だと感じました。
長男は、いつも思いますが良い先生に恵まれています。

性教育の内容

かなり広汎な教育になるようで、今年度については以下の内容を教育していくとのことでした。

自分の身体を知る

自分の身体を知り、大切な部分を知る。
大切な部分とは、所謂プライベートゾーンを指しています。

大事な部分は他の人に無闇に見せたりしてはいけない(大事な部分だから「もったいない」という表現で教えているようです)。という事をまずは教えるところから始め、

自分にとって大切な部分は、他の人も大切なものであり、尊重しなければいけない。というように徐々に広げていくとのことでした。

背景には、他者への関心が出てきて「見てみたい」という衝動から、服をずらしてしまうというような事が起きないように防いでいきたいということでした。

このようなことは、長男の学校や学年に限った話ではなく、実際にそういう事が起きているのかもしれません。

清潔に保つ方法を教える

お風呂の入り方を教えてくれるとのことでした。
各家庭でも教える事はできるかと思いますが、異性の子供に対して指導するのは難しい部分もありますし、私も習ったわけではないので正しく教えられるのか?と問われれば、自信はないと思います。
そのため、学校で対応いただけると助かると思います。
まずは、体や顔の洗い方を教え、性器の洗い方なども教えていくのだそうです。

私の時代にも性教育自体はありましたが、時代が変われば随分変わるものだと思います。

余談ですが、長男はお風呂に入っている時に自分の体を最近意識するようになったと思います。
顔の洗い方も学校で教えていただいたようで、私が洗顔フォームをつけてやると上手に流して洗います。

男女の違いや体の各所の部位について学ぶ

自分のことをまずは理解し、その後に異性との違いを学ぶという順番で教えてくださるとのことでした。

表現や意味は難しいので、このテーマについては長男はどこまで理解できるのだろう?と思いました。

成長の違いについて

小学校高学年になってくると、ある子は体が大きくなってきたり、まだ大きくなれない子も居たりして、個人差が大きい時期になってきます。

子供達も「なぜだろう?」と疑問を感じるときがあるそうです。
そんな時には、「自分が必要なタイミングで成長は訪れるよ」とそれぞれの子供に合わせた言葉で伝えているそうです。

長男については、今の所そのような疑問を感じる様子はなく、感じていたとしても言葉で伝えることは難しいのかなと思いましたが、周りの子がその様に感じる事を知りましたので、今までよりもよく観察することが必要なのだなと思いました。

知的障害を持っていても、心も体も成長し、段々と大人になっていくというお話は頭で理解していても他の方からお話を聞く事で自分の中でも整理できた気がします。

薬について

薬を飲んでいるお子さんは多いですが、落ち着かない行動は薬が足りないだけではなく、成長して思春期に入っているために出ていることもあるそうです。
その可能性を考慮してきちんと医師に相談しながら薬の量などを調整した方が良いとのことでした。

「言うことを聞かない」という現象は、様々な要素(気圧、気温、体調、睡眠など)の影響で起きるため、安易に薬を増やすなどの対策を行う前によく検討してほしい。とのこと。
過剰な投薬で逆に様子がおかしくなってしまう事が時々起きているようです。

また、医師の処方であっても間違えることがあり(現実にあったそうです)、様子がおかしいときには学校と連携して医師に詳しい状況を併せて確認する。などできるので、申し入れてほしいとの事でした。

長男は投薬を行っていない(これ自体が長男の周囲では珍しいようです)ため、いまいちピンときませんでしたが、薬の効果は非常に強く、量を間違えると子供の健康を害してしまう可能性がある事ため、長時間観察する機会のある学校との連携は非常に重要であると思いました。

スポンサーリンク

その他、個別の質問など

今回は私が参加したためか、我が家の質問を結構取り上げてもらえたのでちょっと書いてみます。

イライラして、足をドンドン踏み鳴らす事が多い

学校ではそのような行動はしていないようでした。(家では毎日やっていますが…)
うまくコミュニケーションが取れない時にこういう行動に出る子供が多いようです。
コミュニケーションの手段をなにか設けて見ると良くなる事があるとのことでした。

例えば、言葉やイラストのカード、ジェスチャーなどを用意し、できれば複数用意されていると、意思疎通がうまくできるようになり、落ち着いてくる子供が多いとのことでした。

私は最近コミュニケーションカードの必要性を本で読み、自作のカードを制作しているところでしたので、ちょっと自分の行動に自身が持てました。

性器いじりについて

理由を知ることが重要との事でした。
かゆいのかもしれないし、気持ちが良くてやっているのかもしれない。
また、不安があると触ってしまう子供も居る。
その際に、「ダメ」という注意の仕方をしないようにしてほしいとのことでした。
「ダメ」という言葉は行為ではなく自分自身が否定されていると認識してしまうことがあるためです。

先に教えている「大事な部分」だから、他の人に見せてはいけない、無闇に触ってはいけないというロジックで教えるようにしたいとの事です。
この事を知ることができましたので、家での接し方を考える事ができるようになりました。
ついやってしまう、反射的に「ダメ」と言ってしまう事を気をつけるようにしたいと思います。

性器いじりは自慰につながりますが、成長に伴い出てくる行動なので無理に抑えると悪影響が出る可能性があるとのこと。
人前でやると社会生活が困難になってしまうので、時と場所をわきまえてできるように指導していくとの事でした。

まだ、長男は自慰を行う事はありませんが、布団にお尻をふりふりしている事はあり、疲れている時に安らぐようです。
このあたりも学校の指導方針がわかっていれば、家庭でも合わせていきたいと思っています。

母親に甘えてしまう

長男は妻にベタベタ甘えるようになっていますが、学校ではあまり関心のない様子でいるとの事でした。
なので、先生はちょっと意外そうした。
表現は変わっていくと思うが、比較的長く続く現象との事で、あまり気にせず自然な距離で接するようにすればいい。

また、お風呂などは男女別で入るようにし、どうしてもという場合には、服を着て体を洗ってやるようにすると良いとの事でした。

我が家では子供達のお風呂入れは私の担当になっており、出社などでいない場合には妻が短パンなどを着用して洗ってやっているようですので、この方針を継続したいと思います。
お風呂に関しては他のご家庭の意見も出ていましたが、同じような対応をとっているご家庭が多いようでした。

体調不良を訴える方法は?

支援校ということもあり、うまく自分の体調を表現できないお子さんが多いです。
長男もそんな一人ですが、機嫌が悪いのか、体調不良なのか区別がつきにくいのが難しい点です。

あるお子さんは、登校直後からじーっと保健室を見続けているので様子がおかしいと思い検温をしたら発熱していたなどがあったそうです。
この辺は、お子さん毎のサインを学校と共有しておくと体調不良のサインを早期に発見できる可能性が高まるとのことでした。

しかし、これで休めると思うと次からは同じサインを繰り出してくるようになるので、やはり家庭との連携が重要であると思いました。
また、コミュニケーションと同様にジェスチャーや、カードで表現できるようにするといいとの事です。

外でのトイレはどうしているか?

異性の子供の場合、だんだん成長して大きくなってくると、一緒に多機能トイレに入るときなど、周囲の視線などが気になってくる場合があるとの事です。
うむむ、確かに最近多機能トイレを悪用した芸能人なども現れ、なかなか難しい問題だなと思いました。

ちょっとその場で意見が出ていましたので、ご紹介しますと…

  • 並んでいる時に、周りに子供が障害者であるとわかるように声がけしながら並ぶ。そうすると、周りの人が順番を譲ってくれたりすることもある。
  • 基本的に気にしない

なるほど、周りへの理解を得るために敢えて会話しながら並んじゃうというのは、順番も譲ってもらえたりする事もあり、ちゃっかりとたくましい意見でした。

私は同性なのであまり気にはならないのですが、妻にはとても参考になる意見なのかなと思いました。

異性に興味を持ち始めたのだが?

障害があっても、心も体も成長する。これは当然の反応であり、成長の証です。
そのタイミングをチャンスと捉えて、適切に教えていくようにしたいとの事でした。

大事な部分だから隠して見せないというのは、親子でも同じであり、尊重する必要がある。
とにかく、「自分が大事」であることを伝える事が大事なのだそうです。

今の時代は、SNSなどを通じて他者からの接触により知的障害者が性被害に遭うケースもあるそうで、高等部になると、SNSなどの注意点などを習うようになっていくとの事ですが、まずは「自分が大事」であり、「大切な部分」は「誰にも」見せないという事を教えていく方針とのことでした。

正直に言えば、悲しいことですが長男は恐らくは生涯で異性と付き合うことは無いと思います。
その長男に性教育を教える意味があるのか?が私の疑問でしたが、「性教育」の範囲を広げて考えれば、他者に迷惑をかけない、被害に遭わないを含めて考える必要ガある事がわかりました。

兄弟でのヤキモチについて

これは私がいつも悩んでいるポイントでして、言葉がしゃべれてコミュニケーションが取れる次男と言葉があまりうまくない長男と比べると、どうしても次男を中心にせざるを得ないときが多くなってきています。(長男に合わせると、次男の体験できることが非常に少なくなってしまう)
長男がポツンと一人になっている姿は、やはり心が痛いものです。

多くの家庭では、むしろ次男のような普通に表現できるお子さんが寂しい思いをしてしまっている事が多いようです。
どうしても手がかかる方に目が行きやすいとのこと。
我が家では敢えてそれをやらないようにしているのですが、逆の事が時々起きています。

そんな時には、

  • 片方がいない時にきちんと可愛がってやる
  • 言葉で表現する

が重要であるとのことでした。
愛情には、近道はないという事を理解しましたので、やはり時間を作って両方の子供と向き合う事が重要であると改めて思いました

最後の一文を今日の秘訣とさせていただきたいと思います。

本日もご覧いただき、ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました